2010-01-01から1年間の記事一覧

柔らかい心

癌患者になると、情報を求めてついつい調べたりしてしまう。 もちろん、それはとても必要なことだし、でも同時にとても恐ろしいことでもある。 何度脇に変な汗をかいていただろう。 書籍は何冊読んだだろうか。 ググる時、どんなに悲しい気持ちになるか分か…

果てしない治療

今日は抗がん剤の日。 DOCにはアルコールが含まれるので、とても身体が重い。 酔っ払った感じ。 副作用はこれから出る。末梢神経の痺れが発現する。 私「先生、もっと楽にならないんですかねぇ。」 主治医「こればっかりはねぇ。仕方ないんです。皮もめくれ…

赤い爪

今日はネイルを付け替えた。 先が赤い爪。 抗がん剤が明日だから、今日どうしてもしたかった。 しんどいことが連続して起こるとき、ネイルは赤にしたくなる。 赤は奮い立たせてくれるから。 その爪が、内出血を起こしていた。 痛いとは思っていたけど、内部…

肌を合わせたい

息子は抱っこされるのが好きだ。 ほめられるよりも好きそうだ。 肌を合わせる、それは決定的な何かを得るのに近い気がする。 いてもいいよと、存在の肯定。 あなたが好きだ、愛情の確定。 信じてもらえる喜び、勇気の源泉。 夜のしじまは、恐怖だ。 だから息…

違和感を大事にする

私は優柔不断だなぁと思う。 決めたことをするのは早いけど、悶々と決められない。 小さい頃はそんな性格じゃなかったのになぁ。 大人になるにつれ、臆病になる。 守りに入りたくなる。 でも本当は、守るものなんてないのにね。 あっても少ない。 たいてい自…

黒い爪

抗がん剤の副作用で、内出血してるんだろう、足の爪が黒ずんでいる。 よくある副作用だ。 爪の根元が痛い。少しぶつかっただけで痛い。 最初は一部が、そして徐々に滲むように、爪全体を黒くしていく。 まだ全ての爪ではない。でもいずれはそうなっていくの…

罹患の確率と深刻度

今日は生命保険の担当者が自宅に来てくれて、今後のことについて話した。 担当者とは大体無駄話が多い。大概1時間以上保険とは関係のない話をしている(笑) 今の保険はいちおう継続できるが、10年ごとに更新するタイプなのでその分値段が上がっていく。 ガ…

コットンパンツとノーブラ生活

今朝も普通に起きれた・・・感謝! この生活に入って、着る物はとにかく付け心地のよいものを選ぶようになった。 ブラジャーは基本ノーブラ。たまにフロントホックのコットンのブラジャー。 かたっぽに綿を詰めないといけないので面倒くさい。 どうせ数時間しか…

さらされた交差点−crossing

起き上がると何かしたくなる。 起き上がれるときが少ないから。 そしてそういう時、また私に教えてくれるものに出会う。 映画『crossing』。 この映画は、脱北者に冷淡だったノ・ムヒョン政権下で、危険を承知で極秘に撮影され、イ・ミョンバク大統領に政権…

抗がん剤の作用と副作用

DOC(ドセ)という抗がん剤を、なめていた。 なめていたというか、わかっていなかった。やっぱり経験は何よりの知識だと思う。 FEC(フェック)との副作用の違いは、まったく逆といっていい。 FECは体内から水分がどんどん外に出て行く感じ。 DOCはどんどん…

私のジョナサン・リヴィングストン

「相手に言葉が届かなくて良い。言葉を届けるんじゃなくて、相手を受け入れることが大切。相手が受け止めない自由を、自分が受け入れることだよ」 教えてくれたひとは、ゆったりと微笑んでいた。 孤独は、相手があって初めて陥る。 誰もいない孤独は、「誰」…

肉体は思考の器

つくづく不思議なことが起こる。 今日また新しい出会いがあった。 人と出会うって素晴らしい。 違う血が輸血され、新たな流れが出来るみたい。 あるがままに−。 病気でリタイアしている状態ではなく、実生活で実践できているだろうか。 今は心穏やかにしてい…

乳がんについて、本音トークしたい!

せっかくガンになったのに、自分の体験って人の役に立つのかな? これはガンになってから、ずっと思っていた疑問。 自分の体験って、自分だけのものだから、それが正しいのか、独りだけで思っていることなのか分からない。 患者は孤独に陥りがち。 なにより…

抗がん剤のやめ方始め方

データで見る抗がん剤のやめ方 始め方読了。 というか、ざっと読んだだけなので、また読まないと分からない。 近藤誠医師は慶応病院放射線科の医師。 一番有名な著書は、『患者よ、がんと闘うな』だろう。 私は読んでないけど。 日本で医師という立場であり…

偏見と嫉妬と殺戮と

今日は『第9地区』という映画を見てきた。 SFって素晴らしい。どんなに意地汚い人間でも、滑稽にさっぱりと、後腐れなく表現できるから。 正直戦闘シーンが多くて、また心臓に負担をかけてしまったと後悔した。 映画そのものは素晴らしい。 主人公は順風満帆…

普通を求めるのではなく、あるがままで

ふと、思い出した。 4ヶ月前の告知前後の事を。 暗かったな・・・当たり前かもしれないけど。 今日九州の親戚も来阪していたので、一緒に食事をした。 その前に新しく、そしてうれしい出会いもあった。 この2組の出会い(再会)で、過去どんな私だったかを思い…

『誰が日本の医療を殺すのか』読了

誰が日本の医療を殺すのか―「医療崩壊」の知られざる真実 (新書)読了。 是非これは日本に住み続けるなら読んでほしい。 これはツイッターで出会った本田宏医師の著書。 220ページの文庫本だが、中身はぎっしり詰まっているイメージ。 この本の内容を信じれば…

異形の形 心の象

3回目の抗がん剤から1週間。 やっと胃が普通になってきた。まだコーヒーなどの刺激物は受け付けないけど。 起き上がれるようになった。起き上がっても頭痛がする。 この1週間で2キロ近く減った。これも頭痛の元になっているかもしれない。 食べようと思って…

癌は楽な死に方か

「死を目の当たりにしてどうですか。」 この質問は、患者にしてみたらとても辛い質問であり、おおよそ答えられない質問だろうと思う。 そしてこの国では、死というものがどんなにか身近でないのかを想像する。 子供への虐待や、親殺し・子殺し、安直な殺人、…

がん患者に治療の選択肢はないのか

九州に旅行に行ってきた。親戚と一緒に。 当初免疫低下もあって、疲れることに対してすごく恐怖感があった。 が、ペースをかなり落とし無理せず行動することで、随分気分転換になった。 以前旅行したときと比べて、随分自分が変わってしまったことに気づいた…

失われた対象を求めて−リハビリは希望

今日は兵庫県まで足を伸ばして、リハビリテーション科で受診した。 前から気になっていた、動きが悪いこと、肉がダボ付いていることなど、動きのチェックと現状把握のために。 一通り動きをチェックしてもらった。 とても驚いた。 全て数値化する−腕を上げる…

必死で生きてきたのか

正直、舞台上で少数民族の厳しいながらも暖かな愛をはぐくむ生活を、ヤンリーピンの現代経済にあわせた舞台芸術の実現とに、ダブルパンチでやられた。 自分が悩んでることなんてつまらないことじゃないか・・・。 おそらく、病気をしている私が少数民族として存…

この舞台を支えるために−商業成功

この舞台の素晴らしさは、少数民族各舞踏をオリジナルの神事をそのまま舞台に持ってきたことではなく、舞台用に改めてリライトされていることだと思う。 ヤン・リーピンは確か50歳を超えている。 素晴らしいパフォーマーだ。 しかし、舞台監督はこれが初作品…

シャングリラの舞台

大きく流れを分けて、混迷期〜家族形成〜集団形成〜信仰とあるように思う。 しょっぱなのステージにもおお、と思った。原始的な太鼓のリズム。 全体を通して言えることなのだが、「舞踏・楽器は神(天・自然)への祈り」であり、「男女の営み」である。 まるで…

シャングリラ−故郷と共に生きる

抗がん剤の影響で、ここ5日くらいの記憶はほとんどない。 ずっと寝ていたから。寝てるか食べてるか。寝てるか食べてるか・・・。 でも実は食べれていない。 また体重が減った。 次の抗がん剤投与日までに体重が戻らなければ、また申告しなくてはいけない。 抗が…

潜水服は蝶を夢見る

昼間寝たのと、吐き気が若干止まっている今のうちに書きたいことがある。 だから今日も夜が遅いことは許してね。 邦題『潜水服は蝶の夢を見る』が、ここ数日ずっとほしい本だった。 今日のタイトルはこの本のタイトルをもじったというか、私の感覚、リズムで…

メメント・モリ

毎日脱毛が激しい。 ついに完全に地肌が見え始めている箇所がある。 一定量、満遍なく抜けていくというよりも、触れるところから抜けていっているようだ。 風が吹いても抜ける。 地肌の毛穴が見えている。 抜けるときに、枯れた毛根も一緒に抜けている。 私…

死の臭いがする

髪の毛がすごい勢いで抜けている。 すごい勢いだ。 毛が多い私でも、いつかは禿げるだろう。 正直、坊主にして良かった。 息子に多少でも気づかれるのが遅くなるだろう。 息子が私が坊主にしたときの、あの落胆ぶり。本当に怒っていた。 母親は美しくあらね…

動くからだが欲しければ

今日の検診で、体液が格段に減っていた。 2cc以下になると、自然と組織が体液をリンパの代わりに吸収するという。 体液を抜くとすっきりするけど、それまでが実は痛い。 傷口も腫れる。 それにリンパ浮腫が怖い。腕が異常に、ぶくぶくに膨れる。見るも辛い写…

わたしの主治医観察

このところ、実は悩んでいた。 生きる希望を持っていたけど、もしかして私自分の状況を良く分かってないんじゃないだろうかと思って。 トリプルネガティブの予後の悪さを、先日のデータでも発見してしまった。 日経BPから出ている乳癌ムックで、術前化学療法…