柔らかい心

癌患者になると、情報を求めてついつい調べたりしてしまう。
もちろん、それはとても必要なことだし、でも同時にとても恐ろしいことでもある。

何度脇に変な汗をかいていただろう。
書籍は何冊読んだだろうか。
ググる時、どんなに悲しい気持ちになるか分かるだろうか。

調べながら、泣いた。
行く末を案じて、泣いた。


それでも、調べることを止めないのはなぜだろう。
最初主治医は、「どうせネットで調べてきてるんでしょ?」的な反応が多かった。
私はあえて、「調べていません。教えてください」と言った。
主治医に見捨てられるのが半分怖かったのと、あとの半分は主治医に「先に調べて反論ばかりする患者ばかりじゃないです。先生の言ってる意味を知りたいんです。」という気持ちだった。

本当は調べていた。そして泣いていた。
眠れなかった。


私は、どうもセンシティブな性格らしい。
自分では強いとおもってたけど、柔らかいところもある。
誰かに傷つけられたくない、柔らかいところ。

癌という病気は、心も蝕む。
本当はtwitterでも、他の人のつぶやきやアドバイスが、心痛かった時期もあった。
苦しそうな姿が、とても辛くて泣いたりもした。

そういうとき、痩せ我慢でもいいから、強気なことを書きたくなる。
傷ついても、どうか立ち上がってほしい。
そういう気持ちになる。
そしてそれが、自分を奮い立たせる力になる。

だからあんまり、痛いって言うのは好きじゃない。
辛くても、辛くないって思いたい。


だけど、あんまりにも痩せ我慢もよくない。
痛いときは痛いって、優しくしてほしいときは優しくしてっていうのも、心の強さ。
素直さに勝るものはない。

素直な気持ちをさらけ出す。本当に強いって、素直なんだ。

柔らかいところをもったまま、柔らかくしなやかに。
自分の柔らさを感じるだけじゃなく、相手に対して柔軟に。

強いとは、頑固のことじゃないんだね。


知恵をつけるためにこれからも、調べることは止めない。
それは、人の役に立てたいから。
それが結果的に、自分につながってる。