偏見と嫉妬と殺戮と

今日は『第9地区』という映画を見てきた。

SFって素晴らしい。どんなに意地汚い人間でも、滑稽にさっぱりと、後腐れなく表現できるから。

正直戦闘シーンが多くて、また心臓に負担をかけてしまったと後悔した。
映画そのものは素晴らしい。

主人公は順風満帆な人生を送っていた。
超国家組織のホワイトカラー。
多分給料もいいんだろうな。
はっきりいって、いけ好かない男だ(笑)
そばにいたら、確実に嫌いなタイプ。

草食系(?)エイリアンが共存を求めて地球に漂着して20年。
人間は彼らを「エビ」と呼び、軽蔑し差別し、狭い居住区に押し込んでいた。
人間の被差別人種・クラス・ギャングたちは、「エビ」と同じエリアに住み、そこで争いながら共存していた。

差別することは殺戮に直結する。
多分、これは現実に今でもどこかで確実に存在することなんだと思った。
「エビ」に実験を試み続ける超国家組織。
「エビ」相手に売春・武器売買・商売を広げるギャングたち。
「エビ」は?
食い散らかされるだけだけど、生命力が強い。

人間の身勝手さ溢れる映画。
理解できないものに対する偏見。嫉妬。
殺戮という手法でみんなが食物連鎖になる。

この映画では「エビ」が対象だけど、人間界では「ニンゲン」に対して同じことが繰り広げられている。

普通ではなく在るがままにって、ブログで書いたけど
別の角度でこの映画は病気前の私を映し出してくれる。

自分さえ良ければとは思っていないけど、何かを言い訳にして結局自分が一番かわいいという私を。


こわいこわい。
決して他人事ではなく、ニンゲン一人一人の心の中に、少なからずもある心の断片を抉り出している。

SFって、後腐れなく表現できるから素晴らしい。
そしてショックだけが、強烈に心に残る。