抗がん剤の作用と副作用

DOC(ドセ)という抗がん剤を、なめていた。

なめていたというか、わかっていなかった。やっぱり経験は何よりの知識だと思う。


FEC(フェック)との副作用の違いは、まったく逆といっていい。
FECは体内から水分がどんどん外に出て行く感じ。
DOCはどんどん身体の中に溜め込む感じ。
漢方で言ういわゆる「水毒」の状態だ。

1日2日はなんともない。でも3日目からおかしくなった。
節々が痛い。筋肉がこわばる。足がしびれだした。
踵を地面に付けることがこんなに痛いとは。
つまり歩行困難になった。

指先のしびれもすごかった。
これらは全て浮腫みからきている。
体中が余計な水分を溜め込み、頭が常に痛い。
朝目が覚めて、起き上がるのに30分以上かかる。
痛くて思わずうなってしまう。

気分転換もへったくれもなく、疲れてすぐ寝てしまう。
変な時間に寝てしまうから、夜眠れなくなる。

足湯をしても眠くなるものの、浮腫みや痺れに効果があるとはいえなかった。

なにより、手術痕の痛みが復活したのが耐えられない。これは今も続いている。
脇のリンパを取っているので、浮腫みが前より悪化しているのが分かる。
触覚がわからない部分が広がっているのに、傷口がやたらと痛む。 ズキズキが本当に痛い。

一時期目もかすみ、全身が麻痺したような痛みで耐えがたかったが、今日朝からきちんと目が覚めてしかも簡単なストレッチをしただけで起きれたのはとても感動した。

それは、前日2時間風呂に入ったこと、足揉みとマッサージを徹底的に行ったことが勝因(笑)と思う。

2日前、抗がん剤投与後1週間たったので病院に調べにいった。白血球が700まで下がっていたのでまたノイトロジンという白血球を活性化させる注射を打った。その次の日も打った。

主治医に体中痛いこと、もう舌の感覚もないこと、味がわからないこと、口内炎の多発していること、浮腫みが酷いことを訴えた。
一言
「もっと酷くなります」
とのことだった。

足を触ったり傷口を診てくれたりしたが、「まだましですね。これから回を重ねるごとに酷くなります。覚悟してください。」
といわれた。

主治医も困った顔をしていた。(珍しい)
「うーん・・・これはねぇ。しないとだめなんですよ。これをしないと死亡率が高くなる。逆に言うとこれ(DOC)をやって再発した人は僕はほとんどみたことがないんです。DOC100っていったらはっきり言ってきついと思う。だけど耐えてくれとしか言いようがない。ごめんね。」

仕方ない。
「浮腫の痺れには動かすことが一番です。とにかく動かすように」といわれ、「ストレッチとかですか?」と聞くと「特別なことはしなくていい」と慌てていわれ、どんだけ私が運動好きと思われているかがよく分かった・・・。誤解だ。無茶なことはしませんよ・・・。

要は体内に水毒が滞っている状態が冷えを起こし、益々悪循環に陥るんだな、と理解した。
ゆえに足湯に効果があるのではなく、運動+足湯という補助があれば尚よしということだ。

というわけで、徹底的に足を揉んだ。
外出するだけでかなりの体力を消耗したので、夜風呂に入って風呂に足踏み板(凹凸の在るいたーいやつ)を持ち込んで痛みをこらえて踏み倒した。
風呂から上がってみると、孫さんと佐々木さんの「光の道座談会」を見ながら徹底的に足裏の反射区&リンパのマッサージ。
手足の浮腫みを泣きながら押し上げた。

浮腫んだ足をマッサージするのはかなり痛い。
痛いけど、歩けないのはもっといやだ。
押しまくってそして睡眠薬を飲んで寝た。


次の日。

朝って素晴らしい。
まだ痛いものの、前日までの症状がかなり緩和されていた。
万歳。勝利した!(大げさ)

まだ脇がかなりダボ付いている。これが傷口を圧迫し、胸の傷口も疼いている。
顔もむくんでる。
でも起きれた!
うれしかった。

当たり前に生活ができる幸せ。それをかみ締める。

でも相当腹筋も衰えてる。
便秘が日に日に酷くなり、トイレに何十分もこもったり唸ったり。
トイレが終わったら疲れて寝てしまったり。

自分の身体を取り戻すのに、やっぱり時間はかかるんだな、と改めて思った。
あきらめてないけど。
たまにはため息つきたくなるよね。


今日もマッサージしてやった。
昨日みたいには痛くない。

明日は外に出れるかな?


これだけ副作用があると、次の抗がん剤が怖いけど、負けないぞ。