定期検診の報告
昨日は定期検診の日だった。
私の癌は、遺伝子が理由でも他の何か起因するようなものが理由でもなく、突発的なタイプの癌だと、主治医にいわれた。
ガン患者の半分は鬱病になると言う。
私もきっと鬱だと思った。しかし違った。自律神経を失調していた。
まだ髪が薄い。それは女性ホルモンが足りないからだと思っていたが、血液検査ではホルモンは正常値に戻っていた。
でも、私の生理はまだ戻らない。
精神が不安なのは、主治医曰く「心因性ではないか」と。
愕然とした。自分の気持ちが体を追いつめているのかもしれない。
しかし、主治医はこうも言っていた。
「あなたが受けた抗癌剤治療は非常に厳しい治療(FEC、DOCを6回)なので、爪は戻っても髪の毛は元に戻らないかもしれません。」
本当に泣きたくなった。
失ってからその価値がわかるというのは、真実だと思う。
豊かな髪は、女らしさの象徴だ。
代替は効かない価値だ。自尊心が傷つけられた。
主治医に何度も何度も、頭髪のことを質問した。
主治医は
「騙されたと思ったでしょう」と言った。
確かに、最初にこの話はなかった。
主治医にとってガン闘病とは、何はなくとも命を危機から救うことであり、危機の予防であり、それ以外は2の次だった。
主治医は最善を尽くしていると思う。
でもそれは、私の個人としての人生を取り戻す方法には、少し足りないのも事実だ。
小さな不満が、心の中でちくちく刺した
「育毛剤を使ってみてください」
主治医は多分、あまり効果はないと思われるであろうが、気休めにでもやってみてほしいといった感じでそれを勧めた。
もう戻れないことを感じた。
健康だけでなく、当たり前の女性らしさも。
主治医に、このゴールデンウィークに旅行でダイビング(主治医の許可をもらっていた)したこと、大学院に行ったことを報告した。
「よかったねぇ!闘病には何と言っても体を動かすことが一番です。」
「大事なことは楽しむことですよ。」
そして
「大学院に行くことは、あなたらしい」
とも言われた。
私らしいとは何なのだろう。
主治医にとって、私はずっと泣いている泣き虫患者だった。
私らしいとは本当に何なのだろう。
でもそれはもうどうでもいい。
今目の前の人が、私を肯定的に受け止めている。
不確実な未来は確実で、目の前の言葉は不確実で、それでも私が何かを選択しなければいけないのであれば、自分にとって不快なことを選択する必要はない。