週刊文春の『「抗がん剤は効かない」は本当か!?』を読んで

近藤誠氏。
「患者よ、癌と闘うな」「あなたの癌は、がんもどき」「再発・転移の話をしよう」などの著書があり、私もいくつか読んだ。
はっきり言って、闘病中に読むものではない。
安保徹氏の行ってる様な爪もみでがんが治ったら世話がない。病院いらない。
それとはまた違う、患者が読むとショックをかなり受ける本を、近藤医師は書いている。

この医師については、どういう風に書いていいのかわからず、ちょっと放置していた。わかるまで放っておこうと思った。
そして、今回、週刊文春1月20日号で、国立がん研究センター中央病院•腫瘍内科医長の勝俣範之医師と、テキサス大学MDアンダーソンがんセンター教授•上野直人医師の、以前文藝春秋に掲載された近藤医師の特集記事に対する意見記事が出された。

一般的に、ガン治療には標準治療があることは知られていないように思う。
手術、抗がん剤放射線治療、とそれぞれの治療名くらいは知っているが、それらが患者一人一人に合わせて設計されているとは、私もがんにかかってから初めて知った。
そして、それぞれの治療についても、「危険」「リスクが大きい」「副作用」「痛い」といったマイナス面の情報ばかりが入ってくる。
近藤医師は、そういったマイナス情報に拍車をかけるような本を書いている。

勝俣医師、上野医師も記事で言っていっているように、昔のガン治療では今よりも危険があったものもあるが、今のガン治療は格段に安全性が高くなっていること、科学的根拠の調べ方も数段厳しくなっていること、などが丁寧に書かれている。

記者名もはっきり記載されており、責任を持って書かれているのがわかる。

この記事を読んではっとした。
「近藤医師の検証方法は年々進化しているのであろうか。」
本を読んでいるときは、そんなことにも気づかなかった。
治療方法は年々進化している。患者側ももっと知るべきなのだ。

患者を惑わすような本を書かないでほしいと思う。
しかし、裏を返せば「痛くない治療」「楽な治療」を患者が求めているからだとも思う。
私も胸をきりたくない、抗がん剤したくない、放射線したくない、と、拒否反応ばかりだった。
そういった気持ちのときに、代替医療ホメオパシー、怪しいミラクルなんとか水といった商品や治療法は、心にすっと入る。

私たち患者にできることは、きちんと自分の主治医に相談すること。
疑問があれば聞いてみること。
「馬鹿な質問をしては行けないのかもしれない」と思うかもしれないが、主治医との会話なしに、自分の体の治療は成り立たない。
馬鹿にされても、聞くべきなのだ。
そして、自分の話に耳を傾けてくれる主治医を捜すことも、患者の義務だと思う。

しかし、同じ「医師」でも本当に色々だ。
近藤医師の背景を調べるとしても、「慶応大学」とメジャーな名前がついているとそれなりに信じてしまう。
どうすればいいのだろうか。

上野医師は「最高の医療を受ける患者学」という本を出されている。
診察を受けるときの注意や、主治医の選び方も書かれている。
これは本当にうなづくことばかり。
ぜひ、一読されることを進める。

患者もしっかりと意見を言えるようにしなければならないのと、医師側も怪しい本など出さずに(笑)研究•治療に励んでいただきたいと思った。