入れ替わったとき

放射線治療も9日が経った。
今のところ順調なようだ。
毎週木曜が放射線主治医の診察日なのだが、相変わらずあっさりしている。
日焼け?具合も通常レベルらしい。皮膚が硬くなることは無いらしい。手術跡で硬くなることはあるらしいのだが。

毎日放射線後冷やしているのが功を奏しているのかも。
実は放射線治療を始めるにあたり、冷やす機能の付いた下着をいただいた。これがとてもいい。
あと、漢方で煎じた?塗り薬も塗っている。
まだこれからが大変になっていくらしいので結果は分からないが、今のところ皮膚が痛いとかはない。

それよりも、腕のリンパ浮腫のほうが痛い。
この前リハビリの先生に診てもらった。
左右差最大2cm近くにもなっていた。これはとても辛い。
右の腕の筋が固くなって、まっすぐ伸ばせなくなっている。あわててストレッチを試みているが、蜂窩織炎のときにずっと折り曲げていたのが悔やまれる。
リハビリの先生のところで、たまたまいたリンパ浮腫の勉強を終えられた看護師に指導してもらった。
弾性スリーブという圧力のかかる手のストッキングみたいなものをつけるのだが、うちの外科主治医は懐疑的で「つけなくていい」といっていた。
しかし、リハビリ主治医・看護師に見てもらうとつけたほうがよさそうだ。
手遅れにならないように、マッサージを行う。

医療リンパマッサージとエステリンパマッサージはかなり違うらしい。
確かに、私もリンパマッサージの本は持っているものの、手術後は全然役に立たない。
なぜなら流す場所が違うし、大きなリンパがあるところがよく分かっていないから。
健康なときならいいのだけれどね。

その看護師は、今は医療アロマの勉強もされている。
動機は「患者さんの術後のしんどい姿を見て」。

そうなのだ。
以前から「QOLとはなんだろう?」とずっと考えてきた。
命が助かっただけでありがたい。
確かにそう。
そうなんだけど。
その後も私は生きていく。生活がある。
生きているだけでいいというのではもうなくなる。
仕事もしないといけない。誰かに食べさせてもらえるわけではないし、そうしたいとも思わない。
何度も言うけど、精神的・経済的に自立してるのは人間としての尊厳には必要だと思う。
「心地よい生」がQOLなのだとしたら、最低限働けて、自由にどこでもいけるということが必要なんじゃないだろうか。
そのためのケアはやらなければいけないと思うが、「片乳でいいだろう」「命が助かってそれ以上何を望む」というのは、間違いであるとここに断言したい。

私は、外科主治医にとても感謝している。
でも胸をなくしたことが今でも悲しい。
これらはまったく別のことなのだ。
何でもかんでもごっちゃに考えてはいけない。
感謝すべきことと、自分の悲しみを同じに考えてはいけないと思う。
外科主治医は胸を切った元凶でも悪人でもなく、命の恩人なのだ。 その主治医が「片乳でいいでしょう」というのは、再発の可能性や組織の不定着などの理由があるのだ。
それと胸の無い悲しみや再建への希望をそぐ人、という捕らえ方は間違っていると思う。
しかし、QOLを求める立場からすれば片乳では私はいられない。
だから外科主治医はじめいろんな人にアドバイス、手助けを求めて行こうと思う。

私も何らかの形で、いろんな人に貢献したいと思う。
今はブログだけだけど、そのうち実践の場も作っていきたい。
患者からサバイバーになったとき、予防・患者になってしまったときに色んなアドバイスや指導が出来たらと思う。
具体的には運動方面からの管理など。

もし、1年後再発したり途中で死んでしまったとしても、何かを始めることを躊躇したくない。
結果を求めるあまり、始めることを恐れる気持ちが強かったが、それでは何も出来ない。
何も出来ないことで自分に自信がもてないならば、結果に過剰に期待するのをやめたほうがいい、そう思った。

目の前の出来る仕事をこなしつつ、新たな目標を発見してうれしく思う。

そして、偶然のめぐり合わせ、いろんな人のサポート。
感謝感謝である。だから次は(今すぐじゃなくても)、私の番なんだと思う。


さて、実は最近伯父が胃がんにかかり、手術していたことを数日前に聞いた。
明日お見舞いに行く。
全摘出に加えリンパ、胆嚢、もう一つの臓器も摘出したらしい。
たくさんの臓器を取って大丈夫なのか心配だ。
もう70歳近い伯父だ。
母や伯母が陰で泣いているのを知っている。

改めてガン患者の身内になって、その悲しみや影響力の大きさを感じている。
先日の勉強会で、他の登壇者のお話を聞いていたが、実感というのはやはりなってみないと分からないものかもしれない。
しかし、先行体験は大きい。勉強会での話を聞いていると、覚悟やできることを考えるし、私自身の経験も活かせるかもしれないと思った。


命とはなんだろう。
改めて考える。
助けてもらうとき、生きていくとき。
きっと場面でその意味は変わる。
でも変わらないのは、「いのちってすごい」ってことかもしれない。


■今日の参考ページ
リンパ浮腫について:
http://www.mukumi.com/

日本で唯一の?リンパ浮腫外来があるリズム徳島クリニック:
http://www.limbs-cl.com/pc/