意識

勉強会から1週間が経とうとしている。

先週金曜に、念願の生活者目線で語るガンの勉強会を行った。
私自身、とても勉強になった。
初めてやった勉強会としては、現地参加71名、UST約90〜100名はなかなかの結果だと思ってる。
改めて、えxぺのやすゆきさん、そしてシスコさんに御礼申し上げたい。

もっともっと関心を持ってほしいと思う。
悲しいが、ごく普通の人がなる病気なのだから。

死ぬ病気だし怖いけど、どんなことに傷ついたりするのか、どういったことがしんどいのか。
まだ他人事の人が多いなと思ったのも事実。
自分の事として認知するまで、この活動は続けたいと思った。

勉強会は録画してあるので、ご覧になりたい方はこちらからどうぞ。
■「生活目線でがんを語る会」Ustream録画 http://www.ustream.tv/recorded/8455094


そして勉強会からあけて次の週から、放射線治療が始まった。
また新たなスタートだ。

放射線治療そのものは、いまのところほぼ無痛だしものすごい短時間で終わる。
月曜から金曜までの照射を5週繰り返す。
昔は「焼ききる」ようなイメージだったようだが、いまは違うようだ。

通常の放射線量は、1日2グレイずつ週5日、1週間で10グレイ、総線量50グレイ程度。
がんの種類や部位によっては70グレイ程度まで照射することもあるらしい。(化学療法を併用する場合は、合計30グレイ程度)

20〜30グレイで発赤や紅斑、40〜50グレイで乾燥性皮膚炎、60〜70グレイで水疱やびらんなどの症状が起こりやすいとされている。
ちなみに、60グレイで皮膚炎(ケロイド)、70グレイで骨が解けるとか主治医に言われてかなりビビった。
10グレイ程度の違いがものすごく大きいらしい。(聞いたのは外科の主治医なので詳しいかどうかは分からない。怖くないですよ、という意図の説明だったので)

1週間極少量づつ照射することにより、焼ききるのではないので組織は回復する。(日焼けとよく比喩される)
そして回復してきたらまた照射する。この繰り返し。

放射線治療はとても高度な技術が必要らしく(医師は何でも高度だと思うけど、放射線は高度な物理知識が必要だそうだ)、専門医がかなり不足して言うらしい。
そしてリニアックという最新機器は、かかっている病院でも導入するのに30億の設備投資をしたらしい。
(主治医によると機器だけで、ということだが正確かどうかは分からない。)

放射線照射事故が結構あるので怖かったのだが、高額施設導入のため腕利きの先生も招聘したと聞いて、少々ホッとした。

手術と同じで、ガンだけを焼ききるのではなくその周辺も照射する。
ガンは「飛び散る」イメージだな、と改めて思う。
化学療法もすんだけど、外科の主治医は「ほぼ無い」と言い切っていたが。
それならなぜ放射線治療をするのか、というのが疑問だったけど、ガンには後押しが必要なのかもしれない。
標準治療だから、というのも理由だけど。

放射線科の先生に、いまホットな話題の桑田佳祐さんの食道がんについて質問してみた。
というのは、以前ニュースでリニアックでの転移段階の食道がんを完治したというのを見たからだ。
結論としては「部位による」のと「何科の医師による」というものだった。

放射線専門医として、ガンに対する治療効果が高まっていることを自負しているが、最初から放射線科にかかることはまず少ない。
だから結果として外科からしか回ってこない。
だから個人的には手術前に相談してほしい、とのこと。

これを聞いて、もしかしたら私も先に聞いたほうがよかったのかな、と少し後悔した。
というのは、胸を見てしまったから・・・。
見ないようにしていた手術側の胸を。
正直かなりショックだった。
もう元に戻らない胸を見て「助かった」とはまだ思えない。
もし先に放射線治療を受けていたら、切らずに済んだのだろうか。
(ただし、私の場合かなり転移していたので、手術は避けられなかったとも思った。放射線治療は腫瘍の位置を正確に突き止めること、まばらになっている腫瘍に対しては効果が上がらないと聞いたことがある。)

今ではどちらか分からない。


手術してくれた主治医には感謝している。でもそれと手術後の身体を見て落ち込むのとは全然違うことなのだ。
身体が傷つくのは、本当に精神的にへこむ。
それが命を救う方法であったとしても。
特に女性は、胸がなくなることが本当に生き死にくらい辛い。
何度も言うけど。何度も言いたくなる。


勉強会後に一番に思ったことは、「検診を受ければいいということではない」ということ。
検診を受けても放置したり、「見つけて『くれる』」と思っていたり。
受動的だな、と思った。
もっと積極的に考えてほしい。
検診後仮にガンだったとしたら、どんな治療法を選択するかは、実は余り時間が無いのだ。
勉強会でもみなさんが言っていたが、診断までにかなり時間がかかる。
誤診もありえる。
ガンの検査薬は、輸入していることをご存知だろうか。アイスランド噴火で一時期ひやりとする事態になったことがあるみたいだ。
http://www.jbcs.gr.jp/topic_100421.html

仮に発見から治療まで3ヶ月の猶予があったとする。
その間にいくつの選択肢を理解し、選ぶことができるだろう?
精神的にもすり減らす。
家族は決めてくれない。最終的には自分の身体だから、自分で決めるのだ。

普段は円滑に治療が行われているが、ちょっとした歯車が合わない状態になると取り返しの付かないことになったりもする。

医療関係者が一生懸命努力していても完全ではないのは、私達の仕事や普段の生活と同じなのだ。全く普通で当たり前のことなのだ。




本当に、胸が傷ついたことに傷ついている。
だから他の人は後悔しないでほしい。



参照:
放射線治療に対するQ&Aのページ。
http://www.jastro.jp/QandA/index.html

ウィキペディア 放射線治療の体制についての課題も書かれている。
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E6%94%BE%E5%B0%84%E7%B7%9A%E7%99%82%E6%B3%95