手術から1日

手術室に歩いて向かうとき、怖かった。
手術台に自分で上がり、横になった。
麻酔科、手術担当看護婦、皆にこやかな顔をしていた。

最後、点滴をし、酸素マスクからの麻酔を嗅いだとき、涙が流れていた。
涙を拭いてくれてたのを覚えている。

そのあとは、夢を見ていた。
みんなと遊んでる。お花見か、ピクニックか。みんな笑ってた。

突然起こされた。
アラートが沢山鳴ってる。
見たことのない部屋。

ああ、終わったんだ。
熱い。

目の前に息子がいた。
ああ、来てくれたんだ。

息子はビックリしていた。
声がでない感じだった。
「ちゃんと宿題するんやで。おばあちゃんの言うこと聞きや。」
こんなときでも、親面をする。
息子は黙って頷いていた。

みんなが帰ったあと、急激に激痛が走った。
傷が痛いのはもちろん、3時間以上同じ体制だったために背中がいたかった。
痛み止の座薬をしてもらったが効かない。
背中をずらしてもらったが、痛い。

激痛が走るが、自力で体勢を変えた。
少しましになった。

睡眠薬を点滴で打ってもらって、3時間ほど寝れたのか。
目が覚めたが、まだ痛い。

仕方ないのでまた自力で体勢を変える。
自分の腕とは思えないくらい、腫れ上がり、痺れていた。
傷口も腫れているのがわかる。

こんなに痛いの…

疲れと薬でうつらうつらしていると、朝になった。
カテーテルを取り、足の浮腫を取る機械を取り、やっと自由になった。

水がほしかった。
昨日の夜から飲んでいない。
水が飲めたのが嬉しかった。

朝食は食パン。に、なんとマーガリン。
…うーん。マーガリン…。
病院食を不味いと思ったことはないけど、マーガリンはいただけない。トランス脂肪酸のかたまり…。
ちょっとこれは考えてほしい。

朝食を食べ終えたら、自室に戻る。
その前に、主治医による検診。傷口のガーゼを取り替えてもらう。
そのとき主治医に腕を引っ張られた。
痛い…かなり痛い…。
動かせってことなんだろうけど…周りの看護師さんが止めるくらいだから、相当引っ張られたと思う…。

まだ体にはチューブがついてある。傷口から血液を徐々にとっている。
首からぶら下げ、自力で歩いて帰った。
ふらふらするが、すでにリハビリは始まっているのだ。

自室に帰ってきて、ほっとした。
そしてしばらく横になっていた。
時計を見ると、まだ10時半だった。

長かった。
そして始まりなんだ。
ここからなんだ。

外の青白い空を見て、歩かなければと思った。

ベッドから出ようとすると、起き上がるだけで痛い。
それを圧し殺しておきた。

歩くと痛い。息が上がる。歩いてるだけなのに。
帰ってきた。少し横になった。
もう一度歩いてみようと思った。
1度目よりもスムーズに歩けるような気がした。

帰ってきた。
お昼ご飯も普通は取りにいくが、やはり持てない。持ってきてもらって食べた。
テレビを見ながらいつのまにか寝た。

気づくと母が横にいた。父もいた。
二人が帰ったあとしばらくして、またあるいた。午前中よりも歩けた気がする。
途中リハビリの理学療法士が来てくれた。
ベッドでリハビリのマッサージと、動かしかた、明日から本格的なリハビリが始まることを教えてもらった。

また寝た。

1日、希望に燃えていた。
手術前はあんなに泣いてたのに。手術後は泣いていない。

今は早く、抗がん剤を打てる体力を戻さないといけない。

戻ってきて、ツイッターのリプライが沢山あった。嬉しかった。
友達からもメールがあった。

頑張る。ありがとう。みんな。