運命の分かれ道

今日は診察の日。
ここのところ主治医は忙しいようで、あまり話してもらえなかった・・・。

今日も忙しいだろうなぁと思っていたけど、案の定忙しそうだった。
「もう放射線治療終了から1ヶ月たちますね」
あー。そうか。そうなのか。
そんなに月日が流れていると思わなかった。

右脇と乳房の確認をしてもらって、もっとよく洗えと指導されたが(洗ってるけどごしごしすると痛い・・・もっと?難しい)、髪の毛生えてきたか?と聞かれたのでカツラを脱いだ。
「あー生えてるねぇ。」そうなのだ、結構生えてきているのだ。
「白髪多いです」
「まあどうしても白髪は多くなるよ〜」
そんなもんなのかなぁ。

これから活動していくに当たって、色々な質問をした。
ヨガや水泳などをやっていいかどうか。飛行機に乗って海外に行ってよいのか。
答えは全部オーケー。
主治医と放射線医と意見が違うのはどうしてか訊ねた。
放射線の先生は3ヶ月は動かさないでって言うのが多いのです。」
つまりそれって、人によって差がある程度の話しなんだろう。
そこらへんはエビデンスとかなんかあるんだろうか?
きっとないんだろうなぁ。

うちの病院は大きな総合病院で、系列の病院もいくつかある。
最初近所のレディースクリニックで、今通っている病院を選んだとき、女医さんに「え?こっちはそこでいいんですか?(ガン拠点病院はこっちの別の病院が登録されてますよ?の意味)」
といわれたが、頑なに今の病院を選んだ。
そこで主治医に会えたのは良かった。というのは、他の病院ではもしかしたら抗がん剤の使用が甘かったかもしれないのだ。
主治医も「あまのさんの場合は、僕がみたほうがいい」といっていた。

告知から15日で手術できたのはやっぱりすごくタイミングが良かったようだ。
今でも4週間待ちらしい。
「乳腺外科一人が持てる患者は50名といわれているのに、現在80名。明らかにキャパオーバーです。だからホームページとかで宣伝したくない」
この話を聞いて恐ろしくなった。
いい先生にはこれでは診てもらえない可能性がある。ただでさえ乳腺外科医は少ないのに。
「局所再発は外科医の責任。他の転移へは抗がん剤をしっかりやれば大丈夫」と主治医がいうくらいだから、いかに外科医としての経験や知識、検査能力(手術の範囲を決めたり、マンモなどの読映能力など)が大切かがその言葉から感じた。

そして乳癌は抗がん剤が肝だというのは、経験して思った。
しっかりと適量行う。
量の増減をしてはいけない、最初は納得できなかったが、今はその通りだと思う。(進行性・若年性・再発ではない場合において)

しかし今日の話で、空恐ろしくなった。
どの医師を選ぶか、どの病院を選ぶかでガン患者の運命は大きく左右される。
そして、腕のいい医者はかなり忙しい。
知らずに「かなり幅のある標準治療の実行」のベルトコンベアに乗ってしまったら・・・降りることはそう簡単ではない。
私はセカンドオピニオンにも行かなかった。
正確には、行こうとしたが「忙しいので」と暗に断られたのだ。
進行性のガンにそれほど時間があるとは思えない。セカンドオピニオンにも費用もお金もかかる。

身体は一つだけ。命も一つだけ。
私は相当運が良かったらしい。
主治医は「日頃の行いがいいから」と笑っていたけど、これは笑い事に思えなかった。